



登場人物
お母さん
前回のお話はこちら。楽ですよ、との甘言にそそのかされてPTAのベルマーク係になった
集計が始まってから3時間ほど経過しました。
集まったメンバーの顔にも疲労が見え始めました。
大人が疲れているくらいだから、小さな子供はもっと疲れていたようです。
お母さんに連れられて来ていた子供が、大きな声で泣き出しました。
その子のお母さんの話では、
子供が小さいので家に一人でおいては置けない。
預かってくれる先も見つからなかった。
とのことでした。
保育園の一時預かりを利用したお母さんもいたようですが、そのお母さんが申し込んだときには
既に空きがなく、断られてしまったとのこと。
仕方なしにずっと教室の片隅で一人で遊ばせていたのです。
持ってきたおやつも食べてしまったし、子供も泣き止まなくて困っているお母さんに、別のお母さんが優しく
「お腹すいたよね。我慢して偉かったね」
と声を掛けました。
そして、そのお母さんと子供に帰宅を促しました。
2人はまわりに感謝しながら帰っていきました。
13時近くなりました。
誰かの携帯が鳴りました。
少しして通話が終わったお母さんが、
「すみません、どうしても外せない仕事があるので、帰ります」
と言ってきました。
そういう事情なら…と周りも納得したので、彼女も帰っていきました。
『いいわよね。仕事ある人は堂々と帰れて』
『私も帰る口実欲しいわー』
彼女がいなくなった後の教室で、数名が冗談とも皮肉ともとれる軽口をたたいていました。
それを聞いて、
女性の敵は女性と言うのは本当だな、と実感させられました。
つづく
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