小学生、全く先に進めない
登場人物
お母さん
ほぼ毎日子供たちの見送りをする。寒かったり雨だったり眠かったりするとやめる。
りい太
登下校では道端で毎日新たな発見をしているので、歩くのが遅い。
りい子
中学生になったので、少し登校時間が遅くなって余裕が出きた。
遅刻しかかるのは理由がある
娘はシャキシャキしていて、歩くのも素早い。
目的に向かって突き進むタイプです。
一方、息子はのんびりしていて、歩くのもゆっくり。
同時に家を出ても、
道端で歩いている虫に気を取られ、空に流れる雲の形に目を配り、どこかから香る花に心惹かれ…などしている内に、娘に置いていかれ、慌てて走って追いかけていました。
娘が中学生になりました。
それに伴って、息子は一人で小学校に登校するようになりました。
彼の歩みは相変わらずゆっくりです。
私には気づかない何かを日々発見しているのでしょう。
それはそれで素晴らしいことですが、早く学校へ行ってほしい。
毎朝の「いってらっしゃい」に強くそう願いを込めて、送り出していました。
ある日の事。
珍しく娘が
「私もお見送りする」
と言って家から出てきました。
彼女は中学生になってから、息子より少し遅く家を出るようになりました。登校時間に余裕が出来たのです。
普段娘がお見送りに出てくることは滅多にありません。
その日は気まぐれに外に出てきたようです。
2人並んで見送ることにしました。
ところが、息子は何度も振り返っては手を振り、歩いては振り返りこっちを向いてまた手を振り、と言ったことを繰り返しました。
とても短い距離を、5回は振り返りました。
娘はちょっとイライラしながら、
なぜ何度もこっちを向くのか。
早く学校に行かないと遅刻するじゃないか。とブツブツ文句を言っていました。
見送りが嬉しいんじゃないかな。
そういうと、娘は納得した様子でした。
やがて、息子の姿が、道路の塀の向こうに消えました。
と思ったら、また戻って来て顔を出しました。
「こらー!早く行け―!」
大きな声で叫ぶ娘の顔は、心なしか嬉しそうでした。
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